【旅行業界事情】JTBは業界最大手だから、一番最安値で予約できるんじゃないの?と思っている方へ。んなこたぁない!

 ※こんな記事を書いておきながらJTBやるるぶトラベルのバナーを張りまくる私

f:id:watanabecook:20160320000812p:plain

 こんにちは。

 若干刺激的なタイトルになっておりますが、こんなことを思っている人って、結構いるんですよね。私はもともと旅行代理店に勤めていたので、よく友人に旅行の手配やお得な情報を聞かれることがあります。そんな時に、時々言われるのが・・・

「旅行といったら、JTBだよね!JTBにいっておけば間違いないんじゃないの?」

「JTBって最大手だから、一番安く販売してるんじゃないの?」

うーん。うーん。うーん。。。

 当然一概には言えないのですが・・・同じように思っている人がいたら、今までの旅行ではちょっと損をしているかもしれませんね・・・。特に、海外ツアーなどのツアー予約はともかく、宿・ホテルを単体で予約するときには、JTBを利用するのは正直いってオススメできません。確かに、JTBや近畿日本ツーリスト(KNT)など古くからある旅行代理店は、名前を知っているから安心して予約できる、という方も多いのかもしれません。今回は「宿・ホテルを予約する際に自分が何を大切にしているか」を考えることを前提に、JTBとオンラインの宿・ホテル予約サイトとの違いを解説します。

旅行に「安心」を求めるか「安さ」を求めるか

「安心」を求めるならJTB等リアル店舗を持つ旅行代理店がオススメだが・・・

 旅行するときに「安心」を求める方は、大手の旅行会社のほうが安心できる、ということに間違いはないでしょう。

 JTBを例にとれば・・・JTBのリアルな店舗でお店の方と会話しながら宿を選び、JTBの店員がその場であなたの代わりに予約をしてくれて、バウチャーを渡してくれる。足回り(飛行機や新幹線)の手配もその場で併せてアレンジしてくれて、あなたはお金を払うだけ。旅先で何かトラブルがあったとしても、JTBの人に相談すれば代わりに対応してくれる。そう、何かと便利なんです。

 実際に、国内旅行ではじゃらんnetや楽天トラベルを利用するけど、海外旅行ではJTBにいってお任せする、という方もいるかと思います。海外旅行では、現地にサポートするデスクを持っていたり、JTB旅行者限定のバスを走らせていたりと、至れり尽くせりのサポートをしていたりします。

 JTBハワイの例

国内旅行にそこまでのサービスを求める必要はあるか

 但し、ツアー旅行が全盛期だった昔ならともかく、個人での旅行がこれだけ当たり前になった現代に、果たしてそれだけのサービスを必要としている方は、いったいどれだけいるのでしょうか。自家用車も当の昔に普及し、旅行の形態も様々になってきています。そこまでのサービスが、かえって旅の自由度を下げると敬遠する方もいるはずです。

 また、JTBのカウンターにいる店員が、そのエリアの有益な情報をどれだけ知っているでしょうか。理想論で言えば、旅行に詳しい方がカウンターにいて話をしてくれるのが理想ですが、今やネットでクチコミが確認出来る時代に、実際に宿泊した旅行者の声を集めているじゃらんnetや楽天トラベルと、そのエリアにいったこともないカウンターにいる店員では、どちらがその宿・ホテルに詳しいといえるでしょうか。そこはネットで多数の声を集めているクチコミには勝てませんよね。

  個人的には(私が年代的に若くネットとかが当たり前の世代だからだと思いますが)、JTBのリアル店舗で予約をする、というのは今の時代になっては過剰サービスである、と感じることが多いです。大体リアル店舗が開いている時間にしか予約できないとか、もはやナンセンスに感じます・・・。

 当然サービスは料金に上乗せ

 当然ですが、これらのリアル店舗を維持することや、現地での手厚いサポートをすることの費用は、販売価格に上乗せされています。

 ちなみに、JTBは非常に利益率の低い商売をしています。JTBは非上場ですのであまり詳細はわかりませんが、こちらを見ると平成27年度3月期で売上高営業利益率は0.8%と、まるで小売業並の利益率・・・。

 http://www.jtbcorp.jp/jp/company/pdf/accounts_report2015.pdf ←JTB決算短信 

 同じく旅行業のHISだと、平成27年度3月期で売上高営業利益率3.7%と、JTBよりも利益を確保していますね。

 http://www.his.co.jp/material/pdf/2015_kessan_sum.pdf ←HIS決算短信

 利益率がなかなか改善できない理由のひとつに、上記のような高いサービス水準を提供しているが故の高コスト体質があるでしょう。昔はスタンダードで求められていたサービスが、今となっては足かせとなっているのが事実ではないでしょうか。 

広告

 

どのくらい差があるの?→ あくまで一例ですが、○千円の差があることも

 実際に、JTBと他の旅行サイトでは、どれだけの差があるのかを比較してみましょう。こちら、山口県 長門湯本温泉 にあるハイクラスの名旅館「大谷山荘」を例にしてみます。ちなみにこちらの宿は、山口県から選ばれている某政治家、というか安倍首相が地元に帰ったときにはよく利用する宿としても有名な老舗旅館です。

祝 安倍晋三内閣総理大臣 2016年新春の集い(1): 山口県・長門市・今が旬

大谷山荘を確認するにはこちら

 さて、こちらのお宿を、2016年3月19日現在、4月13日(水)の宿泊について調査してみると・・・。

 JTBのサイトにあるJTBプランでは・・・2名1室 2食付き 20520円/1人あたり(2名1室時)(税込)1部屋あたり41040円。

f:id:watanabecook:20160319000807j:plain

 じゃらんnetでは・・・2名1室 2食付き 16200円/1人あたり(2名1室時)(税込換算) 1部屋あたり32400円。f:id:watanabecook:20160319000847j:plain

 なんと、同じ部屋タイプで、1部屋あたり8640円じゃらんnetのほうが安く宿泊出来るのです。

 しかも、プランの案内をみても、JTBはお食事おまかせと書いてありますが、じゃらんnetのプラン詳細では、その内容が記載されています。

f:id:watanabecook:20160319001210j:plain

 ↑しっかり案内が書いてあって親切です。


なぜ、同じインターネットで販売をしているのに、このような差が生まれてしまうのでしょうか。

JTBならではのジレンマがそこにはあった

旅行といったら「JTB」であるが故の「定価販売」

 旅行といったらJTB。それは間違いないでしょう。しかし、その名前があまりにも強大となっており、JTBが旅行のスタンダードだと思っている方はいるでしょう。宿としては「JTBに出しているプランは定価のプランで、そこで安売りをすると宿の定価が下がってしまっている、と思われるのではないか?」という気持ちが働いて、安くすることに非常に抵抗があるのです。

じゃらん楽天トラベル=お得のイメージがあるから安く売りやすい

 しかし、じゃらんnetなどのネット予約サイトであれば「もともとお得な情報が集まっているじゃらんだから、直前割や早割などの言葉を入れて安く売ってみよう!お客さんが来ないよりは、来てくれたほうが売上になるから、思い切って値下げしてみよう!」という気持ちが働くそうです。

 上記記事の中でも語りましたが、そのサイトの持つイメージをうまく演出して、高級旅館・ホテルを販売しているのが一休.comです。 

じゃらんなどの予約サイトは、宿にとって使いやすい

 あまり知られていない事実ですが、じゃらんnetは、宿が自由に価格を設定できるが、JTBに出しているプランは、自由に設定するのが難しい」のです。
 じゃらんnetなどは、宿のネット担当の人間が、その気になれば10秒で、その日のプランの値段を下げることが出来ます。
 しかし、JTBではそうもいきません。JTBに値段を下げていいかの確認をとったり、印刷してあるパンフレットとの価格の整合性が取れないので対応できなかったり・・・。そもそも、直前のお客さんの入れ込み状況に合わせて、値段を変える、という変化に対応する前提のサイトになっていないのが、JTBで販売されている宿泊プランです。

 実際にJTBのプラン名を見ても・・・「4月~9月までのプランです」と書いてありますね。機敏にプランの内容などを変えられるのがネットの利点なのに、これではネットのいいところが出せていませんね。

 だから、じゃらんなどのサイトでは販売状況を見て機敏に対応するために、値段が安く販売されていて、JTBにはその変化が反映されていない。このような状況が生まれてしまうのです。
 

まとめ:安心を買うならJTBも、値段が高いことがある!

・JTBはリアル店舗を構え現地でのサービスも展開している分、値段が最安値とは限らない。

・柔軟な対応を可能にしている、ネット宿泊予約サイトが安いことが多い!

 自分が旅をする時の状況を踏まえて、賢く使い分けたいものです。例えば、おじいちゃんおばあちゃんの還暦旅行を手配してあげるときに、絶対に失敗したくない!とか、自分でアテンド・手配するのは不安だというときはJTBの利用もいいと思いますが、自家用車で旅行をするとか、気軽に近場の温泉旅館に泊まる、というときはじゃらんnet楽天トラベル iconで宿・ホテルを探して予約したほうがよいと思います。 

補足:JTBが運営するるるぶトラベルなら、上記不安はないか? 

 ちなみに、ミスリードにならないように記載しますが、上記にあげた話はJTBに当てはまる話であって、JTBグループのるるぶトラベルでは、じゃらんnet楽天トラベル と同じ値段で販売されていることも多いです。

 ただ、JTBとるるぶトラベルって同じ会社だったの?と思う方も多いでしょう。どこかでこのJTBとるるぶトラベルの関係について、今後は解説していきたいと思います。