【連載】じゃらんnetと楽天トラベルを比較して語る その1 サービスが生まれた歴史からわかる違いと特徴
はじめに:日本のホテル予約サイトはじゃらんnetと楽天トラベルの2強
旅行業界にいた人なら当然わかることなのですが、日本において、ホテル予約サイトは圧倒的にじゃらんnetと楽天トラベルの2強が強いんですね。
もちろん、一部のホテル、特に都会のシティーホテルやラグジュアリーホテルでは一休.comのほうがシェアを持っていることもたまにありますが、全国的に見ると圧倒的にこの2社。データでみるとこちら。
※出典:観光庁がdentsuに委託したと思われる日本のオンライン旅行市場のPDFが落ちてたので引用。
http://www.mlit.go.jp/common/001080039.pdf
これみたらわかりますが、日本の国内は圧倒的に2社が強い。2社の合計が、他の全社の合計になるんじゃないかってくらい、寡占状態。
ので、一般的にはオンラインでホテルを予約する、っていう時に選択肢で上がってくるのは、じゃらんnetか楽天トラベルか、のどちらかになるでしょう。のでこの2つを押さえておけば間違いナッシング。
※その他のサービスはそれぞれ一長一短あるので、いづれ語ります
じゃらんnetと楽天トラベルの違い:運営会社と歴史より
じゃらんnetと楽天トラベルの違いは一体どこにあるのだろうか。ってサイトを見てみると結構違いはあるのですが・・・今回はサイトの見た目の違いはおいておいて、運営会社とその歴史から違いをみてみましょう。
(ちなみに、読まれている方の中にも、なんとなーくじゃらんは温泉旅館が多く掲載されていて、楽天はビジネスホテルを予約する出張とかが多いなあ、なんてイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。この先を読まれると、そのイメージが作られた歴史がわかります)
じゃらんnetはもともと旅行雑誌!
じゃらんnetは元々、(株)リクルートホールディングスが出版している「じゃらん」という雑誌のウェブ版として2000年にスタートしています。しかし、「じゃらん」という雑誌自体が世の中に登場したのは1990年(ちなみに、2015年にじゃらんは創刊25周年記念といって、大きなキャンペーンを打ちだしていましたね・・)。旅行業界の歴史だけでいうと、じゃらんのほうが楽天トラベルより歴史が古いのですね。
1990年当時は、JTBやらKNT(近畿ツーリストの略)の全盛期で、バスツアーや会社の団体旅行が最盛期。それでも時代は移ろいゆくもので、「若者がもっと自由に旅をしたい!」という希望と、折しものペンションブームが相まって、旅行代理店を通さずに個人が宿を自分で手配する、という行為が始まる黎明期だったのです。そのニーズをとらえたリクルート社が、「日本をすみずみまで予約する、ブッキングメディア」というキャッチコピーを引き下げ、創刊したのがじゃらんのはじまりです。
当時のじゃらんの雑誌はさすがに手元にありませんが、じゃらんのお宿ブログの中に掲載があったので、転載してみます。 創刊号の表紙の写真はこちらからお借りしました。
1万円台でなんとかする旅、とか今でも使っていそうなキャッチコピーがありますね。↓こんなバナー、じゃらんの広告でよく見かけますものね・・・。
ほかにも「はふはふの鍋」「きしきしの魚」とか。うーん、今の時代にも通用するような見出し。当時はさぞ斬新だったことでしょう。
そういったこともあり、じゃらんがWEBサービスを始めたときにも、もともと取引のあった温泉旅館やリゾートホテルなどが中心となってスタートをした結果、じゃらんはレジャーの予約をするサイト、という印象を持っている方が多いのでしょう。
閑話休題:旅行の雑誌といえば「るるぶ」じゃない?って思った方へ
同じく旅行の雑誌といえば「るるぶ」をイメージする人も多いかと思います。
では、じゃらんという雑誌はるるぶなどの雑誌と何が違うのか。それは、雑誌を購入する人の「行先がきまっているかどうか」にあると思います。
じゃらんの雑誌に掲載されている情報は、上の創刊号の表紙をみてもわかるように、旅行の行先が決まっている人に向けた情報ではなく、「旅行に行きたいけど、どこに行けばどのホテルに泊まればいいかわからない~!」という人たちに向けて作られているんですね。
だから、じゃらんの雑誌は発刊する単位は「関東」とか「九州」「北海道」といったように、自家用車でいけるようなエリアごとに区切って雑誌を発刊している。一方で、るるぶは「るるぶ京都」や「るるぶ札幌」といったように、「行先がすでに決まっていて、その土地の詳しい情報を知りたい!」という人が買うような雑誌となっており、そもそも読者に提供しようと思っている価値が根本的に異なるんですね。
楽天トラベルは楽天が日立造船から買収したWEBサービス!
一方、今の楽天トラベルは、楽天だけで作り上げたものではないのですね。日立造船が、古くは「旅の窓口」というウェブサイトを社内ベンチャー制度をきっかけに開発。それが伸び盛りの頃に目を付けた楽天が買収。楽天はもともと楽天トラベルという自社サイトもやっていましたが、買収によって一気に成長する選択を選んだのです。
2003年の記事ですが・・・三木谷さんヒゲ生やしてた時期があったんだ・・・。
で、この記事見ると当時は楽天トラベルと旅の窓口は別々でブランド残すと書いてありますが、あっさり2004年にはサイトが統合され、楽天トラベルに1本化されます。
2004年9月14日より新たに「楽天トラベル」としてスタート
こんな「旅の窓口」ですが、元々は、出張の予約が面倒で・・・という不便さを解消するために作られたサービスなので、当然掲載するホテルも都市部のビジネスホテルなど、出張で利用するようなホテルが中心になるわけですね。 そのため、サービス開始当初から、 「出張予約といえば、楽天トラベル」という印象を出すことに成功したのでしょう。
東京―大阪間の出張が頻繁に発生し、もともと大阪の事業所にいた白川自身も、東京の宿手配を何度も行っていた。「出張のたびにホテルに電話して空室を確認して予約して……というのが面倒で。これってネットでやれないかなと思ったのがきっかけです」
まとめ:レジャーはじゃらんnetで、出張は楽天トラベルで
というわけで、もともとのサービスの発展の歴史からすると、レジャーで宿を探すにはじゃらんnetを、出張で予約するには楽天トラベルを、というのがそれぞれの得意分野を活かしており、ひとつの答えになるでしょう。
ただし!そのイメージだけでじゃらんnetと楽天トラベルを使い分けるのは、非常にもったいないことをしている可能性があります!ということで、次回以降の記事ではいかにじゃらんnetと楽天トラベル、並びにほかの宿・ホテルのオンライン予約サイトを使い分けるかについて、解説していきます!
↑楽天トラベルのバナー。なんだかクスっとするものがありますね。
※ 書き出したら長大な連載になりそうなので、簡単なまとめ版もつくらないとなあ・・・。
連載の続編はこちらです!