【連載】じゃらんnetと楽天トラベルを比較して語る その3(後編)各旅行サイトに掲載されている宿・ホテルに違いがあるのはなぜかの理由
さて、本連載も今回で最後となりました。前編・中編は下記をご覧ください。
前編では、そもそも旅行サイト毎に掲載宿・ホテルが変わる理由・背景について、各サイトの特徴とともに解説しました。
中編では、ざっくり分類した下記の理由のうち、ケース1・2までを解説しました。
ざっくりいうと:下記に分類しました
■温泉旅館とかペンションでよくある理由
ケース1:部屋数が少ない宿なんです
ケース2:戦略的に片方の宿でしか売らない理由を作っている例■シティーホテルやビジネスホテルでよくある理由
ケース3:チェーンのビジネスホテルではよくある、本部の意向
ケース4:ブランドが傷つくことを気にして・・・
ケース5:手数料を気にして・・・昨今の宿・ホテル事情から■番外編:こんな理由もあるんです
ケース6:そもそも掲載できない・・ラブホテルとか○○○とか
後編では、残りのケース3~6までを解説していきます!
■シティーホテルやビジネスホテルでよくある理由
ケース3:各サイトの営業担当者の努力?チェーンホテルの中でも掲載されているホテルに違いがあり・・
ほとんどのチェーンホテルは、主要な宿・ホテル予約サイトであるじゃらんnetや楽天トラベルに掲載されていると考えてよいでしょう。しかし、チェーンホテルの中にも特定のホテルについてのみじゃらんor楽天に掲載されていない、ということが起こりうるのです。
例:東横イン
サイトを見ると、楽天トラベルでは東横インは250件予約できるようですが、
じゃらんnetでは229件しか予約できないこととなっています。
東横インを予約するときには、楽天トラベルのほうが便利に探せるということですね。
例:星野リゾート(数値は2016年当時の状況です)
サイトを見ると、じゃらんnetでは星野リゾートグループで24件予約できるようですが、
楽天トラベルでは10件しか予約できないこととなっています。
星野リゾートを予約するときには、じゃらんnetのほうが便利に探せるということですね。
※ちなみに、星野リゾートの中の最高級ブランドである「星のや」のひとつである星のや竹富島ですが、こちらはじゃらんnetでしか予約ができません。楽天トラベルはもちろん、一休.comでも予約ができないのです。
このように、チェーンホテルや、同じグループで経営されているホテルであっても、必ずしもすべての宿が各種旅行サイトに掲載されているわけではないのですね。
正直、これらの理由がなぜ?ということについては、、、それぞれのチェーンホテルの担当者に話をきいてみないと外野からは一切わかるものではないですが(;´・ω・)
いわゆる本部の意向なども踏まえた「大人の事情」があるのでしょう。
ただ、ひとつだけいえるのは、それぞれの旅行サイトの営業担当者は、一室でも多く自社のサイトで予約できるように非常に営業を頑張っているので、中々予約できない宿・ホテルが旅行サイトに掲載されているときは「この旅行サイトの営業担当者は頑張っているんだな!」と思ってもらえればいいと思います。
ケース4:ブランドが傷つくことを気にして・・・
前編でも記載しましたが、じゃらんnetや楽天トラベル と一休.comは、そもそもサイトポリシーが異なります、厳選された宿・ホテルしか掲載しない一休.comと、日本中にある宿・ホテルを掲載しているじゃらんnetや楽天トラベル。
宿・ホテルの中には、これらのサイトの「イメージ」を気にして「このサイトでは販売をしない」という販売戦略をとっている宿・ホテルも中にはあるのです。
具体的には・・・じゃらんnetや楽天トラベルには「安売り」「いつもセールを行っている」というイメージはないでしょうか? 実際に、両サイトはいつも何かしらのセールをやっているのですがww こういったイメージがあると、じゃらんnetに掲載されているだけで「うちも一緒に安く売られている」ということを気にする経営者の方がいらっしゃいます。
また、ラグジュアリーなホテルを経営されている方であれば、民宿やペンションと横並びで比較されてしまうのは嫌がるでしょう。実際、じゃらんnetや楽天トラベルでは、民宿やペンションとハイクラスなホテルを同じ「クチコミの点数」で横並びに評価しますので、「あったかこころのふるさと民宿(仮)」のほうが「ラグジュアリー THE TOKYO(仮)」よりクチコミ満足度が高い、ということが往々にして起こりえます。
そのため、一休Plus+のように、販路を絞ること自体がブランディングになり高級感を演出する、という方法で販売している宿・ホテルがあるのです。そういった宿は、最初から一休.comやreluxのような旅行サイトでしか予約できないため、じゃらんnetや楽天トラベルで探していても見つからない、出会えないということがあります。
また、究極で言えば、旅行サイトを通じてほとんど販売していない超高級宿も存在します。例えば、プロが選ぶ旅館100選で36年連続1位を獲得している加賀屋というハイレベルな温泉旅館があります。
【発表】第41回(2016年)プロが選ぶ100選 | 旬刊旅行新聞 – 株式会社旅行新聞新社
旅行新聞新社(石井貞德社長、本社・東京都千代田区)は12月11・21日合併号(12月11日発行)の「旬刊旅行新聞」と自社ホームページで、第41回「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」の総合、もてなし部門、料理部門、施設部門、企画部門の入選施設を発表しました。総合では加賀屋(石川県和倉温泉)が36年連続1位になりました。
加賀屋自体はじゃらんnetや楽天トラベルで予約することが可能ですが・・・
じゃらんnetで和倉温泉 加賀屋を予約するにはこちら
楽天トラベルで和倉温泉 加賀屋を予約するにはこちら
2015年10月にオープンした、加賀屋の別邸である、 松乃碧(まつのみどり)は、じゃらんでも楽天でも一休.comでも予約ができないのです。
【公式】 和倉温泉 加賀屋別邸 松乃碧|北陸 能登 石川 旅館 宿泊
このように、販路を極端に絞って販売している宿・ホテルがネット予約が全盛になった昨今においても存在しうるのです。
(※ちなみに、JTBやるるぶトラベルのサイトでは予約できます。この現象がなぜ起こるかについては今度解説していきたいと思います・・・。)
ケース5:手数料を気にして・・・昨今の旅行サイト事情から。もはや好き嫌いも?
これは、もはや過去の話題になっていましたが、2011年から各種旅行サイトが相次いで手数料やポイント利用料の値上げを発表しました。
観光経済新聞社 2011年1月22日 一休が手数料2%アップ、宿泊サイトが相次ぐ値上げ
上記に記載されているように、それぞれのサイトが相次いで手数料の値上げを行いました。この手数料の値上げについては各種宿・ホテルの団体も黙ってみているわけではなく、手数料の値上げを行う際には、抗議文を提出しています。それだけ各種旅行サイトの影響力が強い、ということですね。
↓当時、じゃらんnetに対して国際観光旅館連盟近畿支部の方が出した抗議文はこちら(生々しい)http://www.kankokeizai.com/image/2010pdf/20101025_00.pdf
上記以外にも、各旅行サイトと宿・ホテルの団体との軋轢は続きます。
楽天トラベルは手数料の値上げではなく、「アフィリエイト料」という名目で実質値上げを行ったことも話題になりました。
観光経済新聞社 2013年11月2日 楽天アフィリエイト問題、全旅連が楽天トラベルに撤回要望
じゃらんnetは、各旅館のFacebookページを一斉につくる、という機能を追加したことで、過去に問題となりました。
「じゃらんフェイスブック問題」波紋広がる 契約約款に問題点、旅館側の対策は | 観光総合:トラベルニュース
このように、各旅行サイトと宿・ホテルは基本はいい関係にあると信じたいですが、中にはお互いが折り合わずにヒートアップした結果「こんな旅行サイトに掲載してられっか!」となり、掲載を停止してしまっている宿・ホテルがあります。
※一度2chにて、楽天トラベルの自社HPに、抗議文を掲載している宿が話題となりました。当時リアルタイムで見たときはこれはすご過ぎると感じたのを覚えています・・・。楽天トラベルは宿が自分でHTMLなどをある程度いじれるので、こういった謀反が起こりうるんですよね・・。
さて、消費者にこういった宿を見抜くことは基本的に困難ですが、こういったケースも可能性としてあるため、時間があるときはじゃらんnetと楽天トラベル、一休.com等はチェックしたほうが満足度の高い宿・ホテルの手配が出来るでしょう。
○番外編:こんな理由もあるんです
ケース6:そもそもじゃらんや楽天トラベルでは掲載できない・・ラブホテルとか○○○とか
審査の問題?ラブホが掲載されているのは・・・
あまり大っぴらに書くような話題ではありませんが・・・。例えば外資系の旅行サイトは、国内の旅行サイトよりもどうしても掲載基準が緩いことがあります。
例えば、Expediaに掲載されているこちらのホテルをご覧ください。
ホテル スタイル アンド リッシュ HOTEL Style&Lish - Adult Only
Adult Only??敷居の高いホテルなのかな・・・?他もみてみよう・・
ホテル京都和蔵 - Japaneedz Group (カップルズホテル)
・・・ラブホやないかい(゚Д゚;)
じゃらんnetや楽天トラベルにはラブホテルは掲載されていません。理由は定かではありませんが、ラブホテルを掲載することのリスクとリターンを天秤にかけて、掲載をしないこととしているのでしょう。Wikipediaにこんなページもあるくらい、ラブホテルには問題がある経営があるのですよね・・・。
私はラブホテルの存在自体は全く否定もしませんし、日本独特の文化として発展してきたものだと思っております。実際問題、ハイシーズンの京都は非常に宿が手配しづらいので、このように宿泊出来るホテルを増やしているExpediaの営業努力にある種の尊敬の念を覚えます。
じゃらんnetや楽天トラベルでどうしても宿が探せないときは、Expediaなどの外資系サイトに頼るのもいいかもしれません。ただし、トラブルがあったときには対応は非常に苦労しそうですので、その辺は安心とのバランスでしょうか・・・。
(こんな掲示板もありますし。ちなみに、TripAdvisorとExpediaは子会社の関係にあるのですが、これを放置して掲載し続けているのは懐深いなあと思います。そこまで見ていないだけな気もしますが。。)
エクスペディアは最悪 - 旅行・ツアー会社 掲示板 - トリップアドバイザー
もはや常識の問題?掲載されていない理由は・・・
また、ラブホテルじゃなくても掲載できないケースもあるのです。
こちらは、とてもリンクを張れる話ではないので、私の経験談から・・・。
新人時代、当時私は地方都市で営業担当をしていました。自分にあてがわれたエリアのホテルをまわり、プロモーションの営業や今後のキャンペーンへの協力などを日々行っていました。
そんなとき、繁華街から少し外れたところに、見た目がきれいでうちの会社でまだ取引がないホテルを見つけたのです。おっしゃー新規で取引を開拓できるかも!と思って意気揚々と訪問する前に、念のためなぜうちの会社が今まで取引がないのか、気になり会社に電話して確認することにしました。
わたし「すません、あそこに○○○ホテルってありますよね?あそこってうち取引ないですよね?」
アシスタントのお姉さん「あー、あそこね・・・。ちょっと待って調べるから」
数分後・・
お姉さん「ねえねえ、もう営業いっちゃった?」
わたし「いや、いってないですけど・・」
お姉さん「絶対いかないで。」
わたし「え、取引あったんですか?」
お姉さん「いや、そんなことないんだけど・・・そこ、経営者がヤ○ザ絡みなんだよね」
わたし「(;´・ω・)mjk」
お姉さん「直接じゃないっぽいんだけどねー。なんか母体が建設会社で、その建設会社がだいぶグレーな感じ。帝○データバンクで紹介したらアウトだった。」
わたし「(;´・ω・)こわいこわい・・・」
お姉さん「いやー、営業する前でよかったねー。契約したあとだったら、その契約を断るためにもっかい契約解除にいかなきゃいけないとこだったよー。以前同じようなことして軟禁されちゃった営業の子とかいるんだよねー。」
わたし「(;´・ω・)なにそれしねる。ぜったいいきたくない・・・。」
(補足:もともとホテルは投資産業・装置産業な側面がありますから、地方にいけばいくほど、建設会社が母体となって、バブルで儲かった利益を突っ込んでホテルや旅館を開業しているケースがあります。)
とまあ、色んな理由で掲載されていることとかないとかがあります。。。
このときは冷や汗かいた・・・。
まとめ:宿・ホテルの戦略を理解して、予約しよう!
さて、長かった本記事もこの後編で終了です。一応まとめると、
・時間がないときは、どこで予約しても大差がない。サイトコントローラーによってほとんどの宿・ホテルでは一括して料金が管理されている。
・ただし、宿・ホテルによっては旅行サイトを使い分けているため、時間があるときはじゃらんnet、楽天トラベル、一休.comなどをチェックするのが吉。
・どうしても宿・ホテルが見つからないときは、外資系旅行サイト(ExpediaやBooking.comなど)を検索してみるのもあり。ただし、ラブホなどが出てくるかも・・・
さて、以上です!
ああ、旅行にいきたくなってきた・・・。GW(ゴールデンウィーク)はどこにいこうかな・・・。次回あたりには、GWのような繁忙期にいかに安く旅行にいくか?について解説していきたいと思います。