【連載】じゃらんnetと楽天トラベルを比較して語る その3(前編)各旅行サイトに掲載されている宿・ホテルに違いがあるのはなぜかの理由

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 連載の第1回と第2回では、じゃらんnetと楽天トラベルの運営会社の違い、またそれぞれのサービスに関わる「ポイント」と「クレジットカード」について解説してきました。

 

 

 今回は、じゃらんnetと楽天トラベルで掲載されている「宿・ホテルの数」について語ります。長くなってしまったので、前編・中編・後編に記事を分けております。

 

はじめに

 普通の人は年間に数回しかいけない旅行ですから、多数の宿・ホテルの中から納得のいく場所を、心行くまで探したいですよね。そんな時に、ひとつの旅行サイトだけで探していると、他にもっといい宿・ホテルがあるのでは?と気になったりしませんか?

 今回は、その疑問にこたえるべく「なぜ旅行サイトによって掲載されている宿・ホテルに違いがでるのか」について語りたいと思います。
 ※ちなみに、今回は「宿・ホテルの数」について語りますので、その中でさらに細かい「プラン」「値段」の違いについては、次回以降に語りたいと思います。

 

結論からいうと:大差ないけど、時間があるときはチェックしたほうが無難

「旅行サイトに掲載されている宿・ホテルにはほとんど差がない」けど

「時間があるときは両サイトをチェックする価値はある」です。

 ただし、

「高級ホテル、ラグジュアリーホテルを予約するときは、一休.comを見る価値あり」-「どうしても宿がみつからないときは、外資系旅行サイトをチェックする価値あり」

 といえるでしょう。

 急いでいるときはサクッと好きなサイト(=日ごろポイントを貯めているサイト)で予約するのがいいでしょうし、時間があるときはじっくり色んなサイトを見比べ、納得できるまで探したうえで予約しましょう。

 

なぜ「大差ない」といえるのか

旅行サイトを一括して管理するサイトコントローラーの存在

 じゃらんnetや楽天トラベルのプランや値段の管理をするために、宿・ホテルのWEB担当者は、それぞれの会社の管理画面を開いて、ひとつひとつ設定する必要があります。もちろん旅行サイトはこの2つだけではありませんから、複数の旅行サイトの管理を宿・ホテルの担当者は行う必要があり、これが非常に手間なのです。
(手間とかいっちゃダメですね・・仕事ですから。ただ、これでミスをすると、本来のキャパシティを超えてお客様を受けいれてしまったりと大事になったりするので、担当者は注意を払って各種旅行サイトを管理しているのです)

 

 この手間を解消するために導入されているのが「サイトコントローラー」というシステムです。ほとんどの人は耳にしたことがないと思いますが、旅行業界や宿・ホテル関係者の間では常識のように話されているシステムです。ここではサイトコントローラー自体の詳しい解説は避けますが、業界大手の「TLリンカーン」のHPから解説をみてみましょう。

[TL-リンカーン] TL-リンカーンとは | 予約管理システムの株式会社シーナッツ

・ひとつの画面で旅行会社とネット販売の残室数・販売数をリアルタイムで表示することができ、販売状況がひと目で確認できます。
・複数の予約サイトの増返室や売止、料金調整を一括して行うことができます。これによりオーバーブッキングや売り逃しがほとんどなくなります。  

 ようは、ひとつの管理画面から、じゃらんnetや楽天トラベルといった旅行サイトから、JTBは阪急交通社といった旅行代理店までを一括して管理することができるのです。

各サイトで販売するプランや部屋は統一したい → 一括して管理すると便利

 このサービスが生まれた背景のひとつに、煩雑な管理が大変!ということが挙げられますが、もうひとつ大事な前提があります。それは、宿・ホテルからしたら、各旅行会社・旅行サイトに提供するプランは、同じプランを同じ値段で提供するのが基本だからです。(普通に考えて、同じホテルの同じ部屋を販売しているのに、違う値段で販売するほうが不自然ですね。)そのため、各サイトのプランの値段などを一括して管理できたら便利だな・・というニーズをくみ取って、このようなサービスが存在しています。

(※もちろん、戦略的に販売するために、旅行サイトや旅行会社によって販売する部屋やプラン、料金を変えるということは行われていますが、原則論としては同じ料金でプランを販売するのが基本、と考えてもらって大丈夫です。そのような宿・ホテルの事情があるからこそ、サイト毎の差をつけるために、各旅行サイトが必死にキャンペーンを仕掛けたり、ポイントやクーポンをばらまいたりするわけです

 

本題:旅行サイトによって掲載されている宿・ホテルの数に違いがある理由

 よっぽど大人気な宿・ホテル以外は、旅行サイトからお客様を集めたい!と常に思っています。人気な宿・ホテルであっても「高い値段で予約してくれる人を集めたい」と思っています。 

 普通に考えたらじゃらんnetにも楽天トラベルにもそれぞれ掲載したほうが、沢山のお客様を集めるチャンスがありそうですが・・・それぞれの宿・ホテルの事情や戦略により、掲載する・しないの判断をしています。

 

  これ以降は、じゃらんnetや楽天トラベルに掲載する・しないを決めている宿の理由について、解説していきます。

 また、今回は「各サイトに掲載されている宿・ホテル」についての比較をするために、一休.comについても今回は言及します。旅行業界は第1回の連載でも触れましたが、じゃらんnetと楽天トラベルが旅行予約サイトの中で圧倒的に多勢を占めているため、この2つを比較していました。しかし、今回は一休.comも比較して語ったほうがわかりやすいので、追加します。また、同様の理由でExpediaAGODAのような外資系の旅行サイトにも少し言及します。

 

一般論:ビジネスホテルは楽天トラベル、民宿やペンションはじゃらんnetに優位性あり。一休.comはそもそもサイトポリシーが異なる

 その1で解説しましたが、じゃらんといえばレジャーで、楽天といえばビジネス、といった考えの人も多いでしょう。実際に、じゃらんnetにしか掲載されていない温泉旅館やペンション等のレジャー向け施設はあるし、楽天トラベルにしか掲載されていないビジネスホテルというのはどんなエリアにも存在する、と思ってください。

 ※その理由は、昔からの片方のサイトとしか付き合いがなかったり、現状の売り上げに満足してたりと様々ですが・・・詳しくは後編で言及します。

じゃらんnet楽天トラベル は、とにかく旅行サイトの中ではなんでも揃う総合デパートのようなサイトです。超高級宿からビジネスホテル、民宿・ペンションまで掲載されています。日本国内のある程度の規模の旅館やホテルであれば、ほぼ両方のサイトに掲載されていると思って問題ありません。

 そんな総合デパートのような旅行サイトとは一線を画すのが、一休.comです。

一休.comは高級デパートのような旅行サイト

 サイトからの引用文を見てみると、

 一休.comのモットーは“心に贅沢させよう”。高級ホテル・高級旅館に特化した予約や、プレミアムなビジネスホテル予約、世界のラグジュアリーホテル・リゾートの予約、国内最大級厳選レストラン予約、ギフト券販売を通じて、「上質なサービス」を提供いたします。

 とあります。ようは、高級な宿・ホテルに特化して旅行サイトを作っている、ということですね。

 各サイトに掲載されるホテル、旅館、レストラン、スパは一休.com独自の基準をクリアした厳選の施設となっております。また、提供するお得なプランやクーポンは、大切な人と過ごす特別な時間や記念日、ご両親、お世話になった方へのお祝い・贈り物、ご家族との愉しい時間、気の合う仲間同士でのちょっと贅沢な楽しみ、そして安心・快適な出張など、さまざまなシーンで安心してご利用いただけます。

 「一休.com独自の基準」ということを書いています。確かに一休.comに掲載されている宿は、じゃらんnetや楽天トラベルではハイクラスと認定されるような宿・ホテルに限定されています。

 
 私も以前とあるお宿さんで伺ったことがありますが、一休に掲載をお願いしても、断られることは平気であるそうです。。。その時に、何が基準なんだろうねと雑談で話したのですが、シティーホテルであったら車寄せがあるかどうかや、ウェディングなどをホテルとしてやっているか等、施設のハードが一定の基準になっているのではないかと当時はまことしやかに話されていました。

 

 ただ、今では「一休ビジネスホテル」というカテゴリに「リッチモンドホテルプレミア武蔵小杉」「ドーミーインプレミア札幌」のようなちょっと高級なビジネスホテルが掲載されているため、一休.comがダメでも一休ビジネスホテルであれば掲載出来る・・・ということもあるようです。

(個人的にはこの一休ビジネスホテルには、アパホテル(例)も掲載されているので、一休ビジネスホテルの基準には懐疑的ですが・・・一休.com本体の基準には、確たるものがあると思います。)

※別にアパホテルが悪いホテルだというつもりは微塵もありませんが、高級かと言われると・・・疑問が残ります。

一休.comの中でも特別な「一休Plus+」に掲載されている宿・ホテル

 一休.comのサイトの中でも、特別な扱いをされている宿があります。それが一休Plus+に掲載されている宿・ホテルです。

一休Plus+は、一休.comがご紹介する高級ホテル・高級旅館の中でもさらに上質な体験をお約束する特別な宿(現在85軒)。日本最高位のホテル・旅館で“こころに贅沢”な時間をお楽しみください。(※2016年3月14日引用)

とあります。サイトの中でも、この一休Plus+の取り扱いは大きく、そもそもサイトTOPのフッターに直接リンクが貼ってあったり、サイトの中の目立つところに特集が組まれていたり、メルマガでもとにかく押してきたりと、それはすごい扱いを受けます。

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サイトのTOPに直接フッターでリンクが貼ってあったり↑

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 サイトのTOPページからして、かっこいい。

一休Plus+より引用

大規模なプロモーションの見返りは一休.comでの(ほぼ)独占販売権

 実はこの一休Plus+に掲載する契約をすると、一休.comのサイトの中で優先的にプロモーションを仕掛けてもらえる代わりに、他の旅行サイトへの掲載が出来ない、という縛り(※1)があるのです。そのため、一休Plus+に掲載されている宿については、じゃらんnetや楽天トラベルで予約は出来ず、一休.comかその宿の自社HPから直接予約するしかないのです。

(※1)但し、海外資本の旅行サイト(ExpediaやBooking.com、Agodaなど・・・)では、縛りがかかっていないようです。このあたりの契約は、実際の宿・ホテルの担当者と細かい交渉をされているんでしょうね・・・。

 有名なところでは、例えば東京エリアでは「ザ・リッツ・カールトン東京」や「マンダリンオリエンタル 東京 」また最近虎ノ門ヒルズの上階にオープンした「アンダーズ東京」等も一休Plus+に掲載されています。また、「星のや京都」「上高地帝国ホテル」など東京以外にもその掲載宿は広がっています。贅をつくした旅行を検討する際には、一休Plus+は要チェックすべきホテルかと思います。(※2)

(※2)最近では、reluxのように、一休.com同様に高級ホテル・旅館に特化した宿・ホテルの予約サイトが登場していますね。

(※上記の宿名は、筆者が記事を書いた2016年3月14日時点の情報です)

 

 

 前編はここまでにします!

 中編・後編ではなぜ「掲載されている宿・ホテルの数が旅行サイトによってなぜ異なるのか」の具体的な理由をみていきたいと思います。 

 

↓続きです。

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